今回ご紹介するのは、人を食糧とする怪物の跋扈する閉鎖空間を描いたパニックホラー作品、食糧人類 – Starving Anonymous –
グロテスク表現やエグいストーリーが特徴となる、青年以上向けの内容となっています。
ゴアや絶望系の作品が好きという方には、ぜひとも一度読んでもらいたい作品ですね。
食糧人類のあらすじ
いつもと変わらぬ何気ない日常を送っていた、高校生の伊江とカズ。
公共バスに乗ったふたりは突如睡眠ガスで昏倒してしまい、怪しげな施設に送り込まれてしまう。
そこで伊江が目にしたのは、まるで食糧のように出荷される人間の姿であった…
ホラー作品にありがちな、導入でダラダラする余剰演出は一切ナシ。
温暖化で真夏のように暑い三月という以外、余計な情報は与えられません。
割とパニック系やホラー作品では冗長な導入をやりがちですが、本作ではそうした無駄をマルっとそぎ落としたスピーディさが気持ちいいです。
肥えさせられる人間たち
食糧となる動物は、出来るだけ太らせた方がお得。
我々が日常的に牛や豚に強いているこれらは、恐るべきことに本作では人間に適用されることになります。
怪しげな管を通って溢れるジュースを飲むと、身体はブクブクと肥えてしまい、なおかつ思考能力も低下させられます。
伊江とはぐれたカズはこの液体をがぶ飲みしてしまい、冒頭のスリムな体型からは想像も出来ないような肥満体型になってしまいました。
そして次項ではとうとう、この人類を餌とする怪物が現れることになります。
虫ベースの巨大生物
丸々と太った人間らの飼われる餌場に、遂に現れた巨大生物。
芋虫のような化け物は、白濁した意識の人間たちを腹いっぱい貪っていきます。
虫の嫌悪感にプラス、口腔の形状がヒト型というのがポイント。
かな~り気持ちの悪い怪物に仕上がっております。
しかしこの芋虫は、実はまだまだ幼虫段階。
次項では、その成長後の姿がお披露目となります。
怪物の成虫
ご覧あれ、このフォルム。
カマキリに似た体型と、要所要所で見られるヒトベースの特徴。
施設内にはこの怪物が数え切れないほどのてんこ盛りで生育されており、お腹いっぱいになるまで人間を貪り食っていくのです。
また彼らは非常に燃費が悪いため、あっという間に飢餓状態に陥ります。
その容赦ない歯牙からは誰も逃れることは出来ず、施設の従業員であってもそれは同じことです。
この怪物の気味悪い特徴として、人語を解するという部分が挙がります。
繭の段階で胎教をされた化け物は、人間の発する言葉をオウム返しのように扱い、更には自発的に言葉を発することも可能。
幸いにも知能はそれほど高くはないようですが、こんなバケモノが喋りながら迫ってきたら、それはもう失禁を免れないです、ハイ。
禁じ手ナシ!全開で繰り広げられるゴア演出
上記は子どものフリをして、母親をおびき寄せる怪物のシーン。
普通なら各方面に忖度したくなるような禁じ手っぽい演出も、「食糧人類」では遠慮ナシの全開でブッ放されます。
確かな画力と秀逸な演出力で描かれるゴアシーンは、まさにエンターテイメントの真髄を極めたオカルティックカルチャーと呼べます。
だってこんなにもエグい2コマ、想像から生み出せますか!?
天才かっ。
作中では人喰いの怪物にとどまらず、その他人智を超えたような異形がもろもろ飛び出してきます。
ハエのたかった赤子を「抱いてよ…」だなんて、いっぱしのホラーが一作出来そうなワンシーンですよね。
ブッ飛んだ回想とウソみたいなシナリオ
作中でもっともクレイジーな役割を果たした、山引の過去はもうドン引き。
遺伝子配合や新人類創造など、サイエンス界が腰から砕け堕ちたまま昏睡するような禁忌を平気な顔で乱発しちゃいます。
もちろん、リアリティという小難しい部分をつつき回すと粗がたんまり見えてしまいますが、ことエンタメ目線でいうとこんなにもイカれた設定は前代未聞。
ぶっちゃけ怪物よりも恐ろしい山引のストーリーは、4巻で明らかになっています。
敵は人間にも居るぞ!
捕食生物だけに気を取られると、この施設の中では生きていけません。
所内の治安維持を旨とする「夕凪の会」に目をつけられると、異形の改造人間がおしおきに来るんです!
閉鎖空間+人喰い怪物+改造人間
こんなデスコンボから逃げられる?
僕にはとても自信がありません…
リアリティの欠如やシナリオのご都合主義という部分では粗が見えるものの、純粋にパニックホラーというエンタメを楽しむにはサイコーの一作です。
既に6巻で完結しているため、気軽に手に取れるのも○
気になった方は、ぜひとも一度チェックしてみてくださいね。
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