先日リリースされた、漫画版【ゴブリンスレイヤー】の9巻。
その内容を、若干のネタバレを含みながら紹介していきます。
ダークエルフとの戦いののち、今度は雪山へ向かったゴブリンスレイヤー一同。
とある家元の、令嬢冒険者の捜索を請け負う場面から物語は始まります。
今回もダークな雰囲気たっぷりで、不安と凶事の気配がムンムンなストーリー。
ヒリつくような緊張感が楽しめる一冊になっております。
消息不明のパーティの捜索依頼
由緒ある親元から飛び出し、冒険者という生業に身をやつす。
ありふれたエピソードながらも、彼女が幸運だったのは「剣の乙女」とのコネを両親が持っていたことでしょう。
彼らはとあるゴブリンの巣穴を駆除にいったまま戻らぬ娘を案じ、そこで間接的にゴブリンスレイヤーへお鉢が回ってきたという顛末です。
作中ではゴブリンを侮った冒険者らが辛酸を舐めさせられるシーンを幾度も反芻させられており、もはやこのパーティが無事でないことは我々読者には火を見るよりも明らかでしょう。
今回は令嬢の足取りを追うゴブリンスレイヤーらと、それ以前に起きた過去をなぞる別々の時系列が同時に走ります。
彼らが最終的に全滅するまでの間、いったいどのようなことが起きたのか。
悲惨な結果を知りつつも流れるタイムラインは、相変わらずの胸糞スタイルです。
特徴的なのは、今回のパーティはゴブリンをナメた戦術を取っていないこと。
兵糧攻めはそれほど有効でないとゴブリンスレイヤーは判断しましたが、しかしそれでも、これまで作中でしっぺ返しを受けた冒険者たちのように、猪武者のごとく突貫などはしていないのです。
でも、うまくいかなかった…。
果たして彼らの身に何が起きたのか?
9巻では断片的にしか語られないため、すべてを窺い知ることは出来ません。
次巻以降、凄惨な事件の詳細を我々は知ることになります。
そこかしこのフラグ建築が不安になる
遠い未来の話を交わす上森人と蜥蜴人。
主にフィクション作品では、戦地へ赴く前に結婚の約束や、故郷の幼なじみの思い出を回想するとロクなことになりません。
そういう意味では、表面上はほっこり場面なのに、その実メチャクチャ不安にさせる会話でもありました。
油断すんなよ!
ホラ、当たっちゃうんだよ!
墓所での小鬼英雄との絶望戦闘シーンを思い出すからヤメてけれ!
“あなたの大好きな人が、明日も明後日も隣に居ることは約束なんてされてない”
誰かがこんなこと言ってましたよね。至言です。
生命の確約を受けている者なんて誰も居ない世界観なので、毎戦毎戦がハラハラさせられます。
ゴブリンの質も徐々に向上し出しているため、物語冒頭に比べて飛躍的に危険度は上がっていますよね。
色々と成長してきた
村のゴブリンを掃討するため、十字路で迎撃の体勢を取るゴブリンスレイヤーと女神官。
きっと昔では、こんな戦術は取らなかったでしょう。
もちろん神官ちゃんが成長した証でもあるものの、実はゴブリンスレイヤーにもそれは言えます。
人を褒めたり、任せたり、信用したり。
そういったコミュニケーションが必要で、それも大事であることを覚えたのでしょう。
村人に的確な指示を出すゴブリンスレイヤーに驚く妖精弓手。
自覚がないかもしれないですが、彼女に引っ張り回されることでもまた、ゴブリンスレイヤーは変化を受けているでしょう。
一時の徒党から、本当の一党へ。
自分らを「パーティ」と呼ぶ姿は、ただゴブリンだけを狩る獣のようだった昔とはだいぶ違って見えますね。
ゴブリンパラディンの存在
緑の月の焼き印を見つけ、その存在を確信するゴブリンスレイヤー。
奇跡を使い、知恵を授け、儀式を執り行う。
およそ人のような所業を身に付けた強敵との対峙が、うっすらと輪郭を帯びてきました。
8巻ラストで登場したこの姿。
よもやゴブリンであるとは、予想の外でした。
9巻では登場シーンはないものの、今後の激闘を予感させるたたずまいでありますな。
アニメ版は上記からどうぞ。
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