先日リリースされた、【ダンジョン飯】の9巻。
その内容を、若干のネタバレを含みながら紹介していきます。
今回はお料理マンガとしての本分は若干控えめで、主にダンジョンの秘密やその行く末などにフォーカスした内容となっています。
かなり大きな転換点でもあるため、今後の命運を左右するような重要フェーズと考えられますね。
カナリア隊長・ミスルンの過去
カブルーと共に6階層へ落下したカナリア隊長・ミスルン。
圧倒的な強さを持つ転移術の使い手である彼ですが、その奇特で風変わりな体質と過去が吐露されます。
一見してパーフェクトエルフな彼ですが、その実、欠点まみれのほぼ廃人であることが判明。
今や人の助けなしには自立して生きられないほど。
その理由は、彼は生物に必要な『あるモノ』を迷宮によって奪われていたのです。
同時に明らかになったのは、これまでどの魔物にも当てはまらなかった『悪魔』の存在。
夢魔やサキュバスですらも単なる怪物として扱われていた本作だけに、本当の意味での悪魔の登場は、なかなかにインパクトがあります。
明らかに『大義名分』を有しているカナリア
横柄で高慢、他種族を見下す傲岸不遜さを醸し出されていた西方のエルフたちですが、ここへ来て事情は一転。
どう考えても迷宮の封印は必須にしか思えず、相対的に読者サイドは、ライオスたちの行動に疑念を持たざるを得ません。
ファリン一個人という極めて利己的な理由で迷宮の王を目指す彼らの行為は、膨大な数の生命を危機に晒しています。
またこれまで、ライオス自身には善でも悪でもない、ある意味もっともタチの悪い『中立』が窺えます。
彼が迷宮の王になった末、危険な未来を築くビジョンを持ったのは、ミスルンやカブルーだけでなく、我々にも同じことです。
そういう意味でミスルンの過去篇は、大きな意識の転換点となったエピソードでした。
遂に現れた翼獅子
ミスルン過去篇と対を為すように出現したのが、これまで謎であった翼獅子です。
黄金城の住人からは耳にしていたものの、明確な実像を伴って現れたのは今回が初。
一応、ライオスの夢の中での邂逅というカタチを取っていますが、妄想や幻覚の類いでないことはほぼ間違いないでしょう。
彼はライオスに友好的な態度を取り、自らを封じるシスルに対しては敵対的な意思を持っています。
そして迷宮の主に相応しいのはライオスであると言外に示し、その未来のために手を貸すと明言しました。
翼獅子=悪魔?
ライオスにとって有翼の獅子はこの上なく都合のいい協力者であり、それを甘言であると疑わないのは不自然です。
もっとも、人の悪意や嘘に驚くほど鈍感なライオスでは、自らこの結論に辿り着くことは不可能でしょう。
ミスルンの過去で現れた山羊の悪魔は、どう考えても翼獅子と同じ類いの『力』そのものです。
ならばミスルンの辿った顛末と同じく、ライオスも悪魔の糧とされるために、都合良く誘導されていると思わずにはいられませんね。
現状、ファリン奪還のために、翼獅子を盲目的に信じているライオス一党。
しかしその根拠は黄金城の住人らに受けた助言のみであり、この根幹を見直す必要すら感じていません。
もっと言えば、黄金城の住人たちですらも疑る用心深さが必要でしょう。
少なくとも今のライオスたちは、あまりにもか細過ぎる希望に縋りつく、悪魔にとって最も好ましい贄でしかありません。
マルシルとライオスの出会い
ライオスの走馬燈の中で、マルシルとの出会いの場面が回想されます。
上記の表情からもお分かりの通り、ファーストインプレッションは最低最悪。
これにはマルシルの中で、「愛らしい友人(ファリン)を危険な迷宮へとそそのかした兄」というイメージが彼女の中にあったためです。
まあ実際、その通りなんですけど(笑)
ともあれ、彼らの腐れ縁とも呼べるような原初のエピソードは必見。
マルシル十八番の、
『変な提案される』➡『怒る』➡『仕方ないな』
というよく見た一連も、この回想を見ると、とっても微笑ましいものだと思い返せます。
僕の知ってるサキュバスはコレジャナイ
ギガ ヘプタヘッド マルシル 爆誕。
水場でサキュバスの群れに遭遇した一行。
好みの容姿で誘惑し、精気を吸い取る厄介なモンスターです。
で、ライオスの視たサキュバスがコレ。
どんだけ魔物好きなんですか…。
召喚術で双頭ドラゴン作ろうとしたり、どうもライオス的にはマルチヘッドの魔物が好みらしいですね。
しかし、これまでの彼が持つ欲求の軌跡を辿ると、
『魔物と触れ合いたい』➡『魔物を食べたい』➡『魔物になりたい』
だいぶエスカレートしつつあります。
迷宮の主になった暁には、自身の魔物化ルートもほの見えてきましたわ。
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